CRMとは,情報システムを応用して企業が顧客と長期的な関係を築く経営手法.明確な方法論が定義されているわけではない.詳細な顧客データベースを元に,商品の売買から 保守サービス,問い合わせやクレームへの対応など,個々の顧客とのすべてのやり取りを一貫して管理することにより実現する.顧客のニーズにきめ細かく対応することで,顧客の利便性と 満足度を高め,顧客を常連客として囲い込んで収益率の極大化をはかることを目的としている.日本語でいう顧客関係管理と呼ばれる.
CRMは今までの1(会社)対多(顧客)のマスマーケティング時代から1(会社)対1(顧客)のマーケティングの市場変化に合わせた経営コンセプトである.最近脚光を浴びている経営コンセプトであるが, 日本では特段新しいコンセプトではない.江戸時代の大福帳などで見られるように,単に売上高のみを管理するだけではなく,個人に視点を置いた経営が重要であると考える経営コンセプトは日本 には存在している.事業の方向性や計画はどの企業でも持っている.その事業計画を再確認し,その目的を実行し明確に意識するためにCRMを導入する.
製品やサービスが次から次へと生み出されるという事は,価格競争が起こる事です.しかし価格競争は最後は企業同士の消耗戦になってしまい,働けど利益は出ずという結果に なってしまいます.価格以外で勝負する.そこから抜け出し良い循環を作ることこそ,CRMの担う役割になります.さきほども述べたとおり,顧客なくして企業なしと言われるように,顧客が変化し続け ている限り,企業もそれに対する対応力を付けていかなければなりません.それが1対1の顧客対応力であり,顧客の変化に対して企業も変化する,それを担うのがCRMです.
個人取引の場合,過去の購入記録やWebサイトのアクセス履歴を調べていつどんな商品を買っているのか,あるいは何に関心があるのかなどをシステムを利用して細かく分析する事により, さらに行き届いたサービスやご案内をすることができます.窓口からのお客様の質問や不満などの情報をさらなる注文に結びつけたり,商品の開発・改善,顧客離れやを未然に防いだりする事 が可能になります.
法人取引の場合,得意先を細かく分類する事により優良な得意先に注力したり,ご無沙汰をしていてすぐに訪問すべき得意先について注意を促したりする事が可能になる. 商談の金額が大きい場合や一つの商談の期間が比較的長いタイプの場合には,取引先の様々な部門・様々な肩書きの人と会いながら,誰がキーマンなのか,いつどんな反応があったか等の 情報を記録します.
さらに同じタイプの商談について過去の成功例,失敗例を参照しながら進めることで,商談の成功率を飛躍的に高めることができます.SaaSソフトウェアを提供しているセールス・フォース社は このようなCRMソフトウェアをネットワーク経由で提供しています.